孫子・軍形篇の4は、「まず勝ちて後に戦う」
これは、奥が深い。
故ニソノ戦イ勝チテ忒(タガ)ワズ。忒(タガ)ワザルハ、ソノ措(オ)ク所必ズ勝ツ。スデニ敗ルル者ニ勝テバナリ。故ニ善ク戦ウ者ハ不敗ノ地ニ立チ、而シテ敵ノ敗ヲ失ワザルナリ。コノ故ニ勝兵ハ先ズ勝チテ、而(シカ)ル後ニ戦イヲ求メ、敗兵ハ先ズ戦イテ而ル後ニ勝チヲ求ム。善ク兵ヲ用ウル者ハ、道ヲ修メテ法ヲ保ツ。故ニヨク勝敗ノ政ヲナス。
よって、戦えば必ず勝つ。打つ手がすべて勝ちに繋がり必ず勝利する。
なぜなら、戦うまえから既に敗れている敵と戦うからである。つまり戦上手は自軍を絶対不敗の態勢におき、敵の隙は逃さずに捉えるのである。
あらかじめ勝利する態勢を整えてから戦うものが勝利を収め、戦いを始めてからあわてて勝機を掴もうとする者は敗北する。
故に、戦争指導に優れた将は、将兵をよく統率し、軍法・軍紀を貫徹して、勝敗を思いのままにできるのである。
「不敗の地に立ちて、敵の敗を失わない」
絶対に負けない態勢をひいて敵に隙ができたところを見逃さない。
「チャンスを逃すな」なのだが果敢に攻めるどころか相手のミスに引きずられて自滅することも多々あるのが現実だ。
まして何の準備もなく戦いを始めて勝機を見出すのは万にひとつの幸運をあてにするような無謀な行動だろう。
ビジネスにおいては「勝機」を「商機」におきかえればおのずと通ずるだろう。
兵法書と同様に巷には様々な「儲けるためのマニュアル」が氾濫している。
しかし、たとえ成功者が記したマニュアルであったとしても、マニュアルに書かれた方法を語り継ぐことはできても成功を受け継ぐことはできないと心しておくべきだろう。